Tatami
Tatami
本作は椅子やテーブル、食器などを畳表で巻いた作品である。
どれも日常生活で見慣れた形状であるが、表面の素材は全て畳で使用されるイグサである。
私は特殊畳を製造している岐阜県の畳屋「株式会社 国枝」を訪れ、共同制作を行った。
制作の中ではただ技術を習得するだけではなく、居住空間において和室が必要不可欠ではないものに変化していたことを目の当たりにした。実際に国枝さんの元へ来ている仕事内容も、住宅空間の畳替えがメインではなく、非日常的な空間作りとして、独自の変形畳製造の 技術を活かした空間づくりを行っていることを知った。私はこのような経験から、畳を単なる床材として使用するのではなく、異なる視点から畳という素材に向き合おうと考えた。
本作では和室の空間ではあまり見かけることのない、椅子やテーブル、ティーカップやポッ ド等を巻くことにした。モチーフを選択する際には、職人さん達との打ち合わせにて、畳表が巻きやすいシンプルな形状を選定した。実際の制作では、畳表を巻く前に既製品それぞれの寸法を測り、ロール状の畳表を切断した。しかし、糸が解れないよう裏張りをした畳表は 想像以上に頑丈であり、ハサミで上手く切れずに何度か失敗を繰り返した。試行錯誤の上、 ようやく完成した作品もある。既製品の形状は私が思うより複雑で、そして良く出来ていた。 畳は物の形状や光のあたる方向によって、「目」を変えてゆくのである。
本作から、元々は 床材であった畳という素材にもう一度出会ってみてほしい。
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藝大アートプラザ
W2730×D1820×H900
畳、木材、鉄、陶器、プラスチック
Tatami Kitchen
sanwacompany Art Award 2024にてファイナリストに選出。
日用品に畳表を巻く作品たちをショールーム内のキッチン用品、食器と一緒に展示。
主催:株式会社サンワカンパニー
運営協力:株式会社アートローグ
2024年